最低賃金の上昇による運輸業界への影響
2024年問題以降、働き方改革関連法によるトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制により私たち運輸業界は、運賃の値上げへの理解はもちろん、配送ルートの最適化、荷物の積み下ろしの効率化など様々な工夫と対応に努力してまいりましたが、本年10月に各都道府県で最低賃金の大幅な引き上げが実施されました。当社の本社がある愛知県の場合の最低賃金は時間額1,140円となりました。
全国平均では1,004円から1,121円となり、過去最大の引き上げ幅でした。
今回は、最低賃金の上昇が運輸業界にどのような影響をもたらし、企業が取るべき戦略について考察します。
●運輸業界が直面する問題「コスト増」と「人材確保」
最低賃金の上昇は、特にドライバーや倉庫作業員といった現場スタッフの賃金に直接影響を与えます。
① コスト構造の変化
人件費は運輸業のコストの大半を占めており、最低賃金が上がれば、当然ながら運行コスト全体を押し上げます。このコスト増を価格転嫁しないと、企業の収益構造を圧迫することになります。
② 人材確保の競争激化
「2024年問題」により運輸業界は慢性的な人手不足にあります。最低賃金の上昇は、より良い待遇を求める労働者の流動性をさらに高めます。
「給与水準」を維持・向上させられない企業は、人材確保競争で不利になり、さらに人手不足が深刻化するという負のスパイラルに陥るリスクがあります。
●コスト増を上回る「生産性向上」という戦略
しかし、このコスト上昇の波は、古い体質の業界に「生産性向上」という前向きな変化を促す起爆剤でもあります。
最低賃金の上昇に対応するため、企業が取り組むべきは、以下の2つの「投資」です。
① DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資
運行管理の効率化: 待機時間やムダな作業時間を削減し、ドライバーの労働時間短縮につなげます。
② 働環境・待遇改善への投資
優秀な人材を確保し定着させるため、賃金の上昇は不可避です。その上で、社員が「ここで働き続けたい」と思える環境を作る必要があります。
賃金水準の底上げ:最低賃金ギリギリのラインではなく、地域相場や競合他社に勝る水準への引き上げ。
福利厚生の充実:健康管理支援や資格取得支援など、社員のキャリアと生活を支援する仕組み。
私たちパナシアロジも「高付加価値」な物流を目指し、単なる「モノ運び」ではなく、お客様のサプライチェーン全体を最適化する「高付加価値なロジスティクスサービス」を提供することで、この時代の変化に対応してまいります。
コスト増時代だからこそ、安さだけを追求するのではなく、サービスの質と生産性を追求し、お客様のビジネスに貢献することが私たちの使命です。








